前田智 井石栄司
大阪府富田林市で2022年6月、当時2歳の女児が自宅で熱中症で亡くなった事件で、保護責任者遺棄致死と逮捕監禁の罪に問われた祖母の小野真由美被告(47)の裁判員裁判で、大阪地裁堺支部(藤原美弥子裁判長)は16日、求刑通り懲役9年の判決を言い渡した。判決は量刑理由として、「女児の両腕、両足を緊縛し、劣悪な環境のベビーサークルに閉じ込めたのは悪質で危険性が高い」などと指摘した。
亡くなったのは小野優陽(ゆうは)ちゃん。起訴状などによると、小野被告は内縁関係の桃田貴徳被告(52)=懲役6年の判決を受け控訴中=と共謀。22年6月24~27日に計57時間、自宅寝室のベビーサークル内に優陽ちゃんを閉じ込めた。27日夜には優陽ちゃんの手足を粘着テープで縛り、小野被告らが大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)へ旅行中、29日までサークル内に放置。十分な水や食料を与えず、熱中症で死亡させたとされる。
検察側は論告で、小野被告が22年5月ごろ、優陽ちゃんがおむつを投げるようになったため、サークル側面や上部を板で囲み、外泊のたびに閉じ込めるようになったと主張。「外泊を楽しみ、自宅を汚されないようにするためとの動機は身勝手。常習的な虐待の一環で、貴い命が奪われた結果は重大だ」と訴えた。
弁護側は、小野被告が幼少の実子もいるなか、精神的に不安定になり、養育に限界を感じていったと指摘。富田林市に相談しても適切な対応を受けられなかったことなど、公的機関や桃田被告の責任も小さくないと訴え、「懲役5年6カ月が適当」と主張していた。
小野被告は起訴内容を大筋で認め、「自分の命と代えても守ってあげないといけなかった」と謝罪した。
検察側の証拠や大阪府警によると、小野被告は桃田被告、優陽ちゃんと小野被告の四男(17)、五男(7)と同居。優陽ちゃんが死亡した当日、小野被告と桃田被告、五男は大阪市のUSJに出かけていて、学校から帰った四男がサークル内で倒れていた優陽ちゃんを見つけたという。
桃田被告は無罪を主張したが、昨年12月の一審・同支部の裁判員裁判で懲役6年の判決を受け、大阪高裁に控訴している。(前田智、井石栄司)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル